死亡された方が財産を遺し、相続が発生した場合には、その相続人が集まってどのように遺された財産を相続するのかを話し合うことになります。
これを遺産分割協議といいます。
後で争いとなるのを防ぐためにも、遺産分割協議書を作成してその内容を記録し、相続人全員が確認できる状態にしておきましょう。
遺産分割は慎重に行わなければなりません。
いったん作成した協議書を作成し直すには、相続人全員の承認(署名と実印の押印)が必要となり、利害関係が絡むと全員が快く協力してくれるとは限らず、困難が予想されます。
入念な準備をして、不備の無い、全員が納得できる協議が行えるようにしましょう。
具体的には、以下の点に注意する必要があります。
遺産分割の協議は必ず相続人全員で行わなければなりません。
一人でも除外された人がいる場合は、協議自体が無効になってしまいます。
意図的に除外するつもりがなくても、遺産の分割後に他の相続人のいることがわかった場合や、逆に協議に参加した相続人が遺産の分割後に相続人でないことが判明した場合も、その協議が無効になります。
相続人の調査は確実に行いましょう。
不動産を複数の相続人の共有名義にして、分割して相続した場合は、その共有者全員の同意がなければ不動産の有効活用や担保提供、売買などができません。
そのため、将来、相続人の間で不動産の活用問題をめぐって争いが起こる恐れがあります。
できれば不動産の共有分割は避けたいところですが、やむを得ず共有名義にして相続する場合は、将来のことも見据えて十分な話し合いをしておくことが必要です。
相続人は、「プラス」の財産だけでなく、「マイナス」の相続財産である、負債や保証人・連帯保証人の地位も相続します。遺産の分割を考えるときは、「プラス」の財産の価額とともに、「マイナス」の相続財産の負担も考慮しましょう。
特に、保証債務・連帯保証債務は、その存在の確認が非常に難しい「マイナス」の相続財産で、相続の手続が終わった後で、ある日突然、多額の債務の履行を求められても逆らうことができない危険があります。
連帯保証債務を負っている方は、債務の存在を何らかの形でご家族に伝えておきましょう。
また、「マイナス」の相続財産には、残された配偶者の扶養や祭祀財産の承継、墓守等の「義務」も含めて考えたほうがいい場合もあります。
分割協議の際には、相続人の間で後々不満が出ないように話し合いをしておきましょう。
相続人の間で意見の相違がなく、分割協議を円滑に進めることができる場合は、遺産の分割を工夫することによって大幅な相続税額の減額が期待できます。
しかし、相続税額の大小だけを遺産分割の判断材料とするべきではありません。
民法が定める法定相続分も、必ずしも厳密に従わねばならないものではありません。
税金面での有利/不利は、被相続人と各相続人の関係や、相続人同士の関係、各相続人の個人的な事情とともに考慮する必要があります。
最優先すべきなのは、相続人全員が納得する遺産分割なのです。
税理士法人 さくら会計は、「相続人全員が納得する遺産分割」を全力でサポートします。