相続に関する説明は複雑になることが多く、どうしても専門用語を使わざるを得ない場合があります。
混乱しないように、まず用語の整理をしておきましょう。
「相続人」とは、「財産を引き継ぐ権利のある人」のことをいい、法律上では「法定相続人」といいます。
財産を遺す人、亡くなった人のことを「被相続人」といいますが、この「相続人」と「被相続人」を、それぞれ逆の意味で理解されている方がいらっしゃいますので注意してください。
具体的に、誰が相続人となれるのかみてみましょう。
相続人には、「配偶者相続人」と「血族相続人」の2種類があります。
相続人を考える際に重要なことは次の2点です。
(1)配偶者は常に相続人となる。
(2)血族相続人は、「子」、「父母」、「兄弟姉妹」の順に相続人となる資格がある
以下に図で示します。
※配偶者は1/2、子は各自1/2×1/3=1/6
※被相続人の父母、兄弟姉妹には相続権はありません
※配偶者が死亡していれば子が1/3ずつ相続することになります
※配偶者は2/3、父母は各自1/3×1/2=1/6
※父母がすでに死亡していて、祖父母がいれば祖父母が各自1/6
※兄弟姉妹に相続権はありません
※配偶者が死亡していれば父母が1/2ずつとなります
※配偶者は3/4、兄弟姉妹は各自1/4×1/2=1/8
※配偶者が死亡していれば兄弟姉妹が1/2ずつ相続することになります。
※配偶者の1/2は変わりません
子は各自1/6ずつで、子の一人が死亡していても、死亡した子の子(被相続人の孫)がいれば、その孫が子に代わって相続分を受け取ることになります
以上のように、配偶者は常に相続人となりますが、一緒に相続する人によって配偶者の相続分は変わってきます。また、親である被相続人よりも先に子が死亡している場合に、その子に子がいるとき(つまり、被相続人の孫にあたります)は、子が引き継ぐはずだった相続分をその孫が引き継ぐことになります。これを「代襲相続」といいます。
子が相続人・・・孫、曾孫、曾孫の子…と相続権が承継されていく。
兄弟姉妹が相続人・・・兄弟姉妹の子、つまり甥または姪まで。
※親が相続人の場合は代襲相続は起こりません。
死亡のほか、相続人が相続廃除や相続欠格である場合も代襲相続は起こりますが、相続人が相続放棄した場合は代襲相続は起こりません。
あなたが「相続人」になる可能性はありそうですか?
さて、以上のような相続人以外の人にも、遺言によって財産を相続させることができます。
民法上、厳密にはこれを「遺贈」といい、財産を遺す人を「遺贈者」、受け継ぐ人を「受遺者」といいます。
相続人以外の人に財産を遺す際の注意点は、「遺言について」をご覧下さい。